現在、眼光学グループで「眼疾患と幸福度や睡眠との関連性」を、光生物学研究室で「近視疫学研究」の2つをテーマに勉強させて頂いております。 今まで大学病院、市中病院と合計4年間眼科臨床に従事してきましたが、外来診療にて患者さんから教科書に回答が載っていないような質問を受けることや、難しい症例に直面し治療に苦慮することがたびたびありました。その都度最新の知見を論文で検索したり、学会にて関連のありそうな演題を聴講したりしておりましたが、享受するだけではなく世界に発信する側になりたいという意識がいつしか大きくなってきました。また臨床の現場では、先輩医師に手技などを教えて頂き模倣することに重点をおいてきましたが、一から自分で研究を計画、実施し結果を照合しながら考察し、さらに計画を練り上げる、といった一連の論理的な思考を養えたらと思い、医学博士への道を志すことにしました。
大学院生となり1年が経とうとしていますが、研究室の先生方からはきめ細やかなご指導を頂いており、同世代の仲間達と和気藹々と楽しく研究しています。計画した研究を実行していくことの難しさを実感することもありますが、苦労して得られたデータから新しい知見が得られそうな瞬間の高揚感は、研究ならではの醍醐味だと思います。 私自身が発見したことや学んだことが医療の現場に還元され、いずれ患者さんの光となり笑顔に繋がることを夢みながら、引き続き精進していきたいと思っております。
2014年9月、理化学研究所で世界初となるiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞シートを移植する臨床手術が行われました。以来、日常の眼科外来でも患者さんから「私の病気もiPSで治せますか?」と聞かれるようになりました。 慶大眼科は日本のiPS研究プロジェクト拠点です。最先端のiPS研究を行う恵まれた環境で大学院生ができる事に感謝しています。また、大学院生は医学部全体で指導するという慶應医学部のファミリー意識のもと、科の垣根を越えて、生理学や薬理学の教授より貴重なアドバイスを頂きながら実験を進めています。 iPS細胞は、近年飛躍的に研究が進み、新たな培養法や誘導方法が次々と生まれています。そうした新しい知見をもとに、自分で小さな仮説をいくつも立て、プロトコールを改変しながら試行錯誤を繰り返しています。
現在3歳と1歳の息子達を育てながら研究を進めています。子供はまだ小さいため頻繁に熱を出します。この原稿を書いている日も、1歳児が肺炎で慶應病院に入院し小児科病棟から出勤(?)しました。 それでもやっていけるのは、大学院生は研究に集中するべきという坪田教授の方針のもと、眼科の基礎研究大学院生は臨床の業務なし、もちろん当直もなしの環境を頂いています。臨床の先生方にはいくら感謝しても足りません。 また眼科全体のプロジェクトとして、育児中の女性医師の働き方を検討するワークライフバランス委員会が設置されています。委員長は、眼科准教授で当ラボのボスでもある榛村先生がご担当されています。「医局の子供をみんなで育てる」という有難い理念のもと、両立にご理解を頂いています。 「研究がしたい」という意志があれば、どんな環境でも頑張れるのが慶大眼科の魅力だと思います。年に数回大学院の成果発表会と大学院勧誘会を行っていますので、興味を持たれた方はまずいらしてみてください。皆でお待ちしております。